再受験。医学生となった薬剤師。ぴちぴちの1年生

薬剤師として働いてきて、医学生となった者です。日々の暮らしや受験期のことなど様々なことを発信していきたいと思っております。

学士編入か再受験か ~薬剤師の場合~

医学部へ入学する場合、再受験か学士編入かという最大の悩みがあります。

 

私なりの考えで、どちらにするべきかを考察できればと思います。

 

再受験とは

 

所謂一般入試であり、高校3年生と同様に試験を受けて、大学1年生から入学するという

ものです。全ての大学において間口が開かれておりますが、原則として国公立大学は前

期、後期の2校しか受験できませんが、私立大学は時間とお金が許す限り複数受験する

ことができます。

 

学士編入とは

 

大学が独自に行う試験を受験するものとなっており、1年次後期ー3年次までと入学時期

が各大学によって異なっております。募集人数は5-10人のところが多いですが、

一般入試と違い、国公立大学を年に何校も受験することができます。

 

それぞれのワードについては、検索すると詳細がでてくるので、

ここではあまりそれぞれの試験内容について詳しく解説はしません。

 

この記事では薬剤師の資格をもっている方に絞ってお話していきたいと思います。

 

~薬剤師は学士編入に有利という幻想~

様々なウェブサイトで薬剤師の資格を持っている方は学士編入に有利との記載がありま

すが本当に薬剤師全員が有利なのか? 非常に疑問に思います。

薬剤師にもさまざま属性があり、中には再受験のほうが向いている方もいらっしゃいま

す。(私がそうであったように)

 

フローチャートを示します。

(この図はあくまで私の一意見であります。)

 

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薬剤師国家試験において、生物・物理・化学の理論分野が得意または好きである。

学士編入試験では主に生命科学、英語が課されます。その上で物理、化学、統計など

科目数が増える大学があります。

薬剤師国家試験の範囲とかなり重複しておりますが、この分野の点数があまり取れなく

ても、国家試験に合格することができます。このようにして合格された方にとっては、

薬剤師であっても学士編入試験は1から勉強を開始しなければいけません。再受験、学

編入試験の勉強を1から開始する場合、私はより確実な再受験をお勧めします。

 

面接において、自分の強みを持っている。

学士編入試験であっても、再受験であっても面接は課されます。

しかし面接の意味合いが変わってきます。一般的に、学士編入試験の面接は加点方式で

再受験は減点方式だと考えてもらって大丈夫だと思います。更に試験全体に対する面接

のウエイトがはるかに違います。実績や成果などは一朝一夕で得られるものではないた

め、入試形態を考える際に重要になってきます。

 

私立大学への入学が可能である。

私立医学部の編入を実施している一部(東海大学)を除いては、圧倒的に再受験

です。国公立を狙いながらも軌道修正を行えるため、再受験をお勧めします。

 

数学が得意である。

これは再受験の場合、避けて通れない科目となっております。

英語はだいたいみんな解けて、差がつくのは数学となるため、必ず考慮しなければいけ

ません。

 

特定地域への強いこだわりがない。

編入試験では募集人数が少なく、その大学に絞った勉強を行っても、確実性が低いた

め、結婚されている方や親の介護が必要である方など、どうしても地元を離れることが

できない場合やどうしても行きたい大学はある場合は再受験をお勧めします。

 

最後に

薬剤師であるあなたが、医学部への入学を決意した時、仕事を辞めて勉強に集中してく

ださい。薬剤師の資格を持っているあなたなら万が一試験に失敗しても再就職は簡単で

す。短期集中し確実に合格に近づきましょう。

 

様々述べてきましたが、少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 

院内処方(院内調剤)への回帰

病院及び診療所で診察を受けた後に薬をもらうとき

病院内の薬局(薬剤部)でもらう院内処方(院内調剤)

病院外の薬局でもらう院外処方(院外調剤)

があります。

 

ある時期、物議をかもしたデータがあります。

 

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出所:厚労省(調剤報酬(調剤技術料)平成29年11月16日 保険局)

※調剤報酬の改定があり現在とは多少金額が異なっております。

 

一般的な内科での処方の場合、3130円の差額があるというデータがあります。

3割が自己負担の方であれば、1か月で1000円変わってくるという計算になります。

これを高いと考えるかこんなものと考えるかは置いといて、

もし、院内調剤の金額に院外調剤の金額がすり寄るようなことがあれば、

薬局はたちまち潰れてしまうでしょう。

病院、診療所からしてみれば調剤報酬など利益のごくごく一部でしょう。

その反対に薬局においては調剤報酬が全てです。

そして、この調剤の報酬が高すぎるのではないかということはたびたび

取り上げられております。

 

今年の6月に日本医師会の会長となった中川氏はたびたび

病院は院内処方に回帰するべきだという趣旨の発言を繰り返されております。

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/613778/

 

院内、院外それぞれのメリットを考えてみましょう。

 

患者側からのメリット

 

院内処方:

・安い、移動の手間がない。

・院内で薬剤師もカルテを見ることができるので、情報のやりとりがスムーズである。

 

院外処方

・受診しているクリニックが複数ある場合飲み合わせを確認してもらえる。

(Drは忙しいため、重複、禁忌などを確認している時間がない)

残薬の調整や1包化など薬を飲みやすくしてもらえるサービスが多々ある。

・病院に対しては聞けないことでも薬局へは気軽に相談できる。

 

これらの価値に1000円払うかは個人の裁量になるでしょう。

 

経営者(開業医師)側のメリット

 

院内調剤

 

・移動や値段の面での患者の集客効果が見込める。

・外部の薬局から文句を言われることがない。(もめ事がない)

 

院外調剤

 

・医薬品の在庫を持たなくてもいい。

・好きな時に好きな薬を処方できる。

・調剤のスタッフを雇わなくてよい。

 

経営のコスト面でいえば、圧倒的に院外調剤が有利なことがわかるでしょう。

(現在の調剤報酬の元では)

 

院内処方への回帰

しかし、これだけのメリットがあるにも関わらず、

あえて院内調剤で新規開業する診療所や院内調剤に戻す病院があるのも事実です。

 

そこには、患者の負担を最小限にするという理念や

院内処方にすることで集客が見込めるというメリットがあるという経営的な側面がある

のではないでしょうか。

 

過去に関西医科大学病院が院内調剤に切り替えたという出来事もございます。

https://www.yakuji.co.jp/entry51707.html

 

こういったことも踏まえて、今後も薬局叩きは加速していくのではないでしょうか。

 

さんざん言われていることにもなりますが、この院内処方への回帰という問題から見て

も、これからの薬局には薬を渡すだけではなく、地域での生活を支える取り組みが求め

られるようになっていくのではないでしょう。

薬局薬剤師にも病院薬剤師と違った視点を持った取り組みや能力が必要になると思いま

す。

 

この点においては、大手チェーンではなく、地域密着の薬局が小回りが利くという点

において、圧倒的に有利であると思います。コスト面においては圧倒的に不利な個人薬

局ですが、個人薬局の方々には是非とも頑張っていただきたいですし、将来開業するこ

とがあればお世話になりたいとも思っております。

 

 

岩手医科大学 学費 奨学金

 

編入試験を導入しており、2018年に不適切入試として取り上げられたところとして、有名です。某サイトでは再受験には寛容とされている大学です。

 

ー学費ー

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学費、諸会費、1年次の寮費を合わせて

6年間で計3523万6千円となっております。

(1年次、医学部は全寮制)                   (2020年度)

 

奨学金

医療局医師奨学資金貸付制度
応募資格
将来、岩手県立病院等の医師として業務に従事しようとする意思を持つ者(大学、出身地は問いませんが、岩手県出身者に優先的に貸し付けます。)
募集人員
一般枠 8名、産婦人科枠 2名
貸付額
一般枠 月額30万円(6年間総額2,160万円) 、産婦人科枠 月額40万円(6年間総額2,880万円)
返還免除
医師として岩手県内で2年間の臨床研修を受けた後、岩手県立病院等で貸付を受けた年数勤務(義務履行)することにより、返還が免除されます。

 

市町村医師養成修学資金貸付制度
応募資格
将来、県立及び市町村立等の医療機関の医師として業務に従事しようとする意思を持つ者(出身地は問いません)
募集人員
15名
貸付額
月額20万円、入学一時金760万円
返還免除
医師として2年間の臨床研修を受けた後、県立及び市町村立等の医療機関で通算6年間勤務(義務履行)することにより、返還が免除されます。

※上記二つの奨学金は併用不可

 

例えば、岩手県出身の方で、将来も岩手県で従事しようと考えられている方

であれば、医療局医師奨学金貸付制度及び、日本学生支援機構奨学金を併用すれば

充分通学可能ではないでしょうか?

 

医師として1年でも早く働くために

こういった選択肢もあれば受験にも集中できるかもしれません。

 

 

 

※詳細は個々に問い合わせをお願いいたします。

岩手医科大学 奨学金

https://www.imu-admission.jp/guidelines/gl_study-support/

日本学生支援機構

https://www.jasso.go.jp/

不適切入試のリンク

https://www.asahi.com/articles/ASM1B45Z2M1BUBQU00F.html

再受験時に使った参考書

今回は使用教材の紹介です。

 

教材だけ紹介して、勉強方法は後日記載したいと思います。

 

英語

・やっておきたい長文500

・ターゲット1900

・世界一わかりやすい英文法・語法

・英文法・語法ランダム演習セレクト600

・英語長文POLARIS 標準、応用、発展

スタディサプリ(読解:スタンダード、ハイレベル、トップレベル 肘井先生)

スタディサプリ(文法:スタンダード、ハイレベル 関先生)

 

数学

・数学基礎問題精講ⅠA

・数学基礎問題精講ⅡB

・数学基礎問題精講Ⅲ

・合格る計算ⅠAⅡB

・合格る計算Ⅲ

・1対1対応の演習/数学B

・1対1対応の演習/数学 曲線・複素数

スタディサプリ(山内先生、堺先生)

 

物理

・宇宙一わかりやすい高校物理 力学・波動

・宇宙一わかりやすい高校物理 電磁気・熱・原子

・良問の風

・名門の森(力学、波動、原子のみ)

スタディサプリ(中野先生、物理ハイレベル全48項)

 

化学

・宇宙一わかりやすい高校化学

 理論化学、無機化学有機化学

・エクセル化学

・標準問題精講

 

現代社

スタディサプリ(伊藤先生)

現代社会の点数が面白いほどとれる本

 

だいたいはこんな感じです。

どの教科も初学から対応できるようになっているのかなと思います。

 

スタディサプリは宅浪、初学には相性が良かったのかなと思います!

スタディサプリについても後日記事にしたいと思います。

 

ではでは、、

薬学部在学中に医学部への再受験を考えるならば

※これは私の一意見のため、最終判断は自己判断でお願いいたします。

 また薬学部在学中の方を不快にさせてしまったら申し訳ございません。

 

表題の通り、大学在学中に再受験を考えている方への記事になります。

まず最初に言っておきたいことは医師になるには1年でも早い方がいい。

これに尽きますし、これはどこの再受験についての記事でも書かれていること

ではありますが、私は特に薬学在学中の方に向けて、違う見方もできるのではないかな

とも思います。

 

以上のことを踏まえたうえで、大学在学中というカテゴリを更に3パターンに

分けたいと思います。

 

①1-2学年

②3-4学年

②5-6学年

 

①の場合、勉強をすぐに始めましょう。

1,2年生の場合は受験からそう遠く離れていないため、

記憶を呼び戻す作業になるでしょう。

そして、在学中に勝負を決めてしまいましょう。

しかし、本当に薬学部を辞めてまで医学部に行きたいのかもう一度

考えた方がいいと思います。薬学部が嫌だからという考えの元、医学部に行ってしまう

と医学部合格後もしんどいかなと思ったりもします。

 

②の場合、いきなり休学、退学をするのではなくまずは再受験の勉強を開始することを

お勧めします。そこまで進級しているのであれば、ぜひ薬剤師の資格を取りましょうと

言いたくなります。薬剤師の免許は持っていて損するものではないですからね!

ただ、冒頭でも言ったように1年でも早く医師になった方が良いという考えも

根底にあるため、判断が1番難しい時期でもあるかもしれません。

再受験を視野にいれつつ、在学中に行けるのならば、行くというスタンスで問題ない

かなと思います。ただ一つ言えることは医学部への入学がゴールではないため、

薬学部で行う勉強は無意味ではなく、むしろ他の医師と差をつけることができる分野だ

ということを頭の方すみにおいていてほしいです。

 

③の方は病院・薬局実習を通して医師と働いてみて、再受験を考え始めた人が

多いのかなと思います。もうこの学年まで来ている方は是非薬剤師の免許をとり、

あわよくば、1,2年薬剤師として働いてみることをお勧めします。

せっかく免許をとっても実務経験がないなら免許がもったいないですもんね。

今のところ実務経験がなくてもバイトで雇ってくれる薬局はたくさんありますが、

免許を持っているメリットがバイトできることぐらいになりますからね。

また国家試験を乗り切っていれば、勉強に対する取り組み方への方法

及び姿勢は大学受験期とは大きく違っていると思います。

これは自分の体感ですが、数学が絶望的にできない人を除けば、

国家試験に合格できる能力があれば、医学部受験も乗り切ることができると思います。

大学受験期での1,2年の差はすごく気になってしまいますが、

アラサーでの1,2年はそこまで大きな差ではないのかなと思います。万が一だめでも

薬剤師としては働きなおすことができますしね。

 

今、薬剤師の業界は変革途中であり、

たくさんの薬剤師の方が日々頑張っておられます。

将来元薬剤師の医師という立場から少しでもお手伝いできればなと思っております。

 

特に薬局は重要なカギを握っていると強く実感しています。

そういった方々と協力していきたいですし、薬剤師業界を盛り上げていきたいと思って

おります。

 

長文読んでいただきありがとうございます。